ROOTS
連載
株式会社布引製作所のルーツ
日本で唯一のダイヤスクリーン&スリットグリルが誕生
昭和35年頃のある時、使用済みのスクリーンの切片が持ち込まれました。外国製の製品で見たこともない形状です。どのような加工法なのかも全くわかりません。ここから布引製作所の挑戦が始まりました。たった一枚の切片を、それこそ孔の開くほど矯(た)めつ眇(すが)めつ眺めては材料を選び直したり、金型を何度も開発し直して試作品作りにチャレンジする、という試行錯誤を繰り返し、10年の歳月をかけてついに完全な製品の完成を見ました。
この製品は主に製塩用の遠心分離機や選別機、粉砕機等に使われるもので、「ダイヤスクリーン」と称しています。孔の形状は方向性を持つ最小孔径0.05mmまで可能な微細な三角錐状のもの。非常に高い精度が要求される製品で、常時、倍率の高い拡大鏡や顕微鏡による確認が欠かせません。布引製作所が開発したこの打抜スクリーンの製造法は、持ち込まれたスクリーンが後に判明した製造元のドイツ製のものと同じであるかどうかは未だにわかりません。日本独自・布引製作所独自の遠心分離機用ダイヤスクリーンとして誕生し、製法特許を取得。この後、塩業7社との取引がスタートしたのです。
ダイヤスクリーン
この使用済みのスクリーンを持ち込んだ取引先からは、前後して同じような仕様で、かつ形状が三角錐状ではなく、横に長い方向性を持つ長方形型の長孔(ながあな)と呼ばれる形状のスクリーンも持ち込まれ、こちらの製作もできないか、という打診もありました。この製品も遠心分離機用に使用されるものでした。結論としては、ダイヤスクリーンより製品化が順調に進み、ダイヤスクリーンの完成よりずっと早く販売が可能となりました。布引製作所ではスリットグリルと称しており、こちらも製法特許を取得しています。
スリットグリル
このスリットグリルもダイヤスクリーンと同様に、布引製作所独自、そして日本で唯一の製品として今もご発注をいただいております。